坪川です。あの3月11日から3か月が過ぎました。「またたく間」という形容詞がぴったりなほどの3ヶ月でした。最初は被災地の状況がわからず、支援の仕方もよくわからなかった時期がありましたが、ALL311の活動も軌道に乗り、宮城県ではボランティアセンターでeコミがこれだけ使われているのを見ていると、やはり「情報の力」の大きさをつくづく痛感します。16年前の阪神淡路大震災の時にも、情報の力は問題でしたが、携帯やメール、ネットが当たり前になった現在とは隔世の感があります。
さて、11日の土曜日に、埼玉県鶴ヶ島市の北公民館で防災の講演をさせていただきました。時節柄、地域の方々の関心も高く、皆さん熱心に拙い話を聴いていただきました。今回の震災の被災の大きかった東北地方の太平洋沿岸では、津波による被害が甚大ですが、その他の被災地ではそれぞれの地域の自然特性に応じたさまざまな災害が発生しています。斜面や急傾斜地ではがけ崩れや地滑りが、地盤の柔らかいところでは液状化が、千葉の工業地帯ではコンビナートの火災が、首都圏では帰宅困難者が街に溢れました。鶴ヶ島市でも震度は5相当でしたが、市内からの帰宅困難者が発生したそうです。
地域によって起きうる災害はずいぶん違います。それぞれの地域で何が起きるか、どう対処すればよいのかを地域自身で考えて、自力で対処することが大切です。どこでも通用する防災対策ではなく、個別に適応する災害対策を考えて実行に移すことが重要です。災害のシナリオを考える力をあらゆる場で育んでいただくことを期待しています。
つぼつぼのprofile
国立研究開発法人 防災科学技術研究所
防災情報研究部門
所在地
茨城県つくば市天王台3-1