坪川です。気仙沼にボランティアとして入っている知人のTさんから電話がありました。Tさんは神戸の震災の際に、避難所を半年にわたって切り盛りした方で、以来、仕事をたたんでボランティアに徹している方です。お年の割には元気ですが、長い被災地での生活はご苦労が多いと思います。健康を害されないかとやや心配です。
Tさんの話によれば、彼のいる地域では域外からやってきた大手のNPOがボラセンを仕切っていて、非常にやりにくいそうです。対応は事務的だし、被災者の自立の芽を摘んでいるとTさんは言います。現在各地でボランティアセンターが立ち上がっているところはいっぱいありますが、大きなボラセンがある所ほどメジャーなNPOが活動を行っていて、ボランティアの自由な活動というよりも、メニュー型の定型的な活動が中心となっているところが多いようです。被災者のためというより、ボランティアの満足のための活動という声が聞かれるところもあるようです。
もちろん、ボランティア自体は自発的なものであって、決まった組織やルールに縛られなければ活動してはいけないというものではありません。ですのでボランティアセンターを通さなければ、ボランティア活動をしてはいけないなどというルールはありません。ただ、被災地にどういうボランティアニーズがあるのかは、ボランティアセンターが一番情報を持っていると思われますので、それは惜しみなく開示すべきではないかと思います。自分たちのボラセンを通して活動しないと情報も与えないというのは、ちょっといただけません。大手のNPOも地域のためを思えばこその「仕切り」だと思いますが、間もなくGWを迎え、全国各地から大勢のボランティアが被災地に入ることになるとみられますので、そこでいろいろなトラブルが起きないかとちょっと心配です。
ボランティアとして活動したい、被災者のために何かしたいという気持ちはどのボランティアも持っているわけですが、それが空回りしないよう、送り出すほうも、また迎え入れるほうも、心の通う運営のできるボランティアセンターであってほしいと思います。
つぼつぼのprofile
国立研究開発法人 防災科学技術研究所
防災情報研究部門
所在地
茨城県つくば市天王台3-1