坪川です。間もなく震災から1か月を迎えようとしています。7日に発生した余震では新たな死者が出た模様で、当面の間は警戒を緩めるわけにはいきません。被災者の方々には厳しい日々の続く中、大変な苦労をお察しいたします。
この頃になるとだいぶあちこちから提言なるものが出されるようになります。特に学協会からは次々と提言が発表されますが、正直に言えば書かれていることはみな当たり前のことばかりで、感心するものはありません。何となく学協会の存在意義を示すために、この時点で一言いっておくぞという印象を持ってしまいます。言っておくのも大事かもしれませんが、今は「いう」時ではなく、「する」時でしょう。
この震災はおそらく日本の社会の今後の進む方向をどうするかという深い問題にまで踏み込まないといけない気がする災害だと思われます。単に復旧、復興ではなく、少子高齢化で過疎が進む地方都市のあり方をどうするのか、社会にはどこまで衝撃吸収力や復元力を持たせておくべきなのか、そして原発災害がいみじくも引き起こしたエネルギーの問題については、私たちの社会はどこまで「我慢」をするべきなのか、踏み込んでいかないと、結局ツケを後回しにするだけという気がします。
エネルギーが無限で、人口が右肩上がりで伸びていく社会ではなくなった日本で、どういう選択が行われるか、世界中の注目が集まっています。
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防災情報研究部門
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茨城県つくば市天王台3-1