坪川です。今回の震災は約200の市区町村に災害救助法が適用されましたが、その総人口は1100万人を上回ります。宮城県沖で発生した地震の揺れを感じた人はきっともっとずっと多くいらっしゃるでしょうし、もしかすると日本国民の5分の1くらいの方が、地震発生時に何らかの異常を感じ取られていたかもしれません。
災防具という横浜市に本拠地を置くグループの方から、時々このブログに書き込みをいただくのですが、先日の記事に頂いたご意見の中に、この災害は何をやっても結局は無駄な感じがするというものがありました。確かにこの津波の圧倒的なパワーについてみてしまうと、人間の無力感ばかりが目についてしまい、これまでの防災努力はどこまで意味があるのだろうと、思ってしまう気持ちもわからないでもありません。私自身被災地で見た光景は、人の力の小ささを思い知るものばかりです。
いまはそれに加え、原発震災という厳しい事態が続いているため、なおさら社会全体がそこはかとない不安感にさいなまれているような気がします。将来に対する漠然とした不安が、あらゆる階層、あらゆる世代にじわじわと浸透しているようにも思われます。かえりみれば私たち日本の社会は、明治、大正、昭和と、それぞれの時代にそれぞれの災厄を抱え、それを乗り越えてここまでやってきました。平成もまた阪神淡路大震災と東日本大震災という2つの災厄と対峙せざるを得なくなっています。今回の敵とは長い戦いになりそうですし、また日本という社会のありようそのものを問う、前例のない戦いになるのかもしれません。
私たちは勝てるのでしょうか。その答えはまだ誰にも出せないと思いますが、勝てると信じてまず動いてみる、その一歩から始めてみるのも一つの方法ではないかと思うのです。
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