坪川です。最近同僚の須永君からテクニクスの名機SL-1200MK3を譲り受けたので、このところ久しぶりにアナログレコードを聴く日が増えました。引越しの時に捨てないで取っておいたLPレコードから出る音は、デジタルになれた耳には驚くほど柔らかく、とても新鮮です。旧いものを見直したりするのは、齢を取った証拠でしょうか。
さて、レコードを聴いていてあらためて思うのは、再生時間の短さです。当然のことですが片面を聴き終わるたびに盤をひっくり返す必要があるわけで、デジタル機器に慣れた現代では、いささか煩わしい気がします。さらにネットで楽曲をダウンロードできる現代では、連続再生時間ははるかに長く、いちいちひっくり返すのは信じられないほど原始的な操作に思えるでしょう。
しかし一方で昔のこのシステムのほうが音楽をずっと大事にしていたことも気が付きました。つまりなけなしの金をはたいて手に入れた音楽をじっくり楽しむための儀式として、レコードをひっくり返すための時間は、それなりに必要だったのかもしれません。今はそういう音楽そのものを大切にしている余裕がないように思われます。
昨年は電子ブック元年と呼ばれ、紙による書籍はもう無くなるのではないかと言われましたが、いずれそうなるにせよ、まだ今はゆっくり本のページを繰る楽しみを感じていたいと思ってしまいます。
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