坪川です。今日は新潟県三条市役所で、第2回目の実証実験の準備を行っています。実証実験というのは科学技術の社会還元加速プロジェクトの一環で、「きめ細かい災害情報を国民一人一人に届けるとともに災害対応に役立つ情報通信システムの構築」という表題がつけられています。明日が本番で、仮想の災害の事態の進行に合わせて、現場から入ってくるさまざまな情報をeコミの上で関係者が共有し、適切な判断を下していくというものです。明日は天候がやや下り坂なので、ちょっと心配です。
さて、災害時の意思決定というのはそれだけで十分に研究するだけのテーマでもありますが、実に難しい問題だと思われます。情報が適切にあっても、判断を下すのが人間である限りミスもあるでしょうし、思わぬ行き違いがとんでもない事態を引き起こしてしまったということも珍しくありません。私たちは「うまくいく」というイメージばかりを考えるのではなく、時には「うまくいかなかった」イメージを徹底的に分析して、対処方法を見出す必要があるかもしれません。畑村洋太郎先生の失敗学が、まだ防災の世界では十分生かされていないようです。今回の実験で、「うまくいかなかったところ」、あるいは「うまくいかなくなるかもしれないところ」が発見できるといいのですが。
つぼつぼのprofile
国立研究開発法人 防災科学技術研究所
防災情報研究部門
所在地
茨城県つくば市天王台3-1