大崎高等学校は都立高校の中でも防災を軸にした地域との協働を前面に出している貴重な学校です。これまで我々もプロジェクトの関係でいろいろな地域の学校での防災活動を支援してきましたが、実態としてはなかなかうまくいっているところは多くないようです。その理由としてはいろいろあるとは思いますが、学校が地域に開かれるという雰囲気がなかなか醸成されていないところにあると思います。教育現場も成果主義が蔓延しているので、学校においてはまず進学の成績を上げること、いじめなどの事件が起きないことにエネルギーを注がざるを得ないので、畢竟地域との関係が希薄になっているところがあります。地域もまた、学校に要らぬ関与をしたくないという遠慮やためらいがあるからでしょう。以前にこのブログでも紹介した藤沢市の鵠沼中学校やつくば市の菅間中学校、そしてこの大崎高校は「地域に開かれた」稀有な学校ということができるでしょう。
大崎高等学校には防災に関して極めて強い「売り」があります。それはこの校舎が免震構造になっていることです。学校は敷地面積も広く、住宅地よりも建蔽率も低いので、延焼危険性も低いですし、建物が免震であれば、校舎内にいる限り地震での危険性はかなり低いといえましょう。もちろん避難所としての機能も期待されるでしょう。しかしそのためには地域住民がしっかり支えてくれる関係がなければなりません。いま学校を軸としていろいろな関係者が集まり、議論し、関係を深めてゆこうとしています。どうかこの流れをこれからますます発展させ、来るべき首都直下地震でも地域防災の核としての役割が果たされることを期待しています。
大崎高校生が活動するときに着用するビブス「防災活動支援隊」の文字が地域住民に認知されています。
日ごろの活動を報告する防災活動支援隊のメンバー生徒。地域危険度の情報が利用されています。こういうところでリスク、ハザード情報がどう利用されているのか、行政はもっときちんと把握すべきでしょう。