千葉県流山市はつくばエクスプレス(TX)効果もあって、首都圏では最も人口増加が見込まれている中規模都市になっています。現在の人口はおよそ16万人。「都心から一番近い森のまち」をモットーに、豊かな自然を失わない環境を守った市街地開発を目指していますが、ここでも防災の取り組みがさまざまなレベルで行われています。今日はこちらで活動している流山子育てプロジェクトの青木八重子代表から、冊子「私にもできる 防災・減災ノートin流山」を分けていただきました。
この冊子は、流山市の住民で子育て中の母親たちがワークショップを開いて議論した地域固有の防災啓発活動に必要な知識やノウハウが書き込み式のノートの形でたくさん盛り込まれています。この冊子に家庭単位で必要な事項を書き込んで整理していくことで、誰にでも自分たちの防災対策を点検し、家族間で確認することができるようになっています。
表紙には、「毎年〇月〇日は〇〇〇家の防災デー」と書かれていて、一年に一度は家族で防災の穴がないかどうか、話し合ってみることを勧めています。この冊子は、地域で男女共同参画社会実現を目指す活動を行っているNPO法人「パートナーシップながれやま」から刊行されていて、誰でも入手できます。流山市に住む方も、それ以外の方も、ぜひご覧いただきたいと思います。
東日本大震災を契機に、全国各地で防災への取り組みが盛んになっています。そのこと自体は歓迎すべきことですが、一方で活動が継続できなかったり、いろいろな事情で隘路に陥ったり、行政やさまざまな組織同士で軋轢が生じたりしている事例もたくさんあるようです。しかし地域を変えるのは地域自身であることが本当に肝心で、そこに脇から干渉するにも限度があるのも事実です。ある意味で変化が生まれるのは地域自身に任せなければならないのかもしれません。
青木さんたちの活動のように、まずは一歩を踏み出してみることが大切で、そこで見えてくるものは実にたくさんあるのではないかと思えてしまいます。その勇気こそが地域をささやかでも変えることにつながるのではないでしょうか。それは政治家などが上から目線で社会を変えるのとは違って、ささやかな変化かもしれませんが、次の災害で確実に命を救う、当事者にとっては大きな変化になるかもしれないのです。