さて、では世界の中で日本は自然災害のリスクの位置づけはどのあたりにあるのでしょうか。つい先日オリンピックは終わってしまいましたが、メダル獲得数を国別に比較したくなる心情と同じで、日本が世界の中でどのあたりに位置しているかは、興味のあるところです。
JORN BIRKMANN編の「Measuring Vulnerability to Natural Hazards」の第2版によれば、災害リスクにさらされている度合い(exposure)としては日本は第4位(1位はバヌアツ、2位はトンガ、3位はフィリピン)となっています。これは地震、台風(ハリケーン、サイクロンなど)、洪水、干ばつ、海水面上昇の危険を総合して評価した結果です。トップ10の中で、いわゆる先進国といえそうなのは日本だけですので、まあ先進国群の中では日本がダントツで自然災害ハザードに直面しているといえるのかもしれません。
ただしこれを災害種別にみると、日本はおそらく多くの人たちが想像されるように、地震が飛びぬけて高いわけではないのです。1位のバヌアツの地震exposureは日本の4倍ほどですし、2位のトンガ、3位のフィリピン、5位のコスタリカも日本よりもexposure値は高くなっています。これに対して日本が他の諸国よりもだいぶ高いとみなされているのが実は台風(ハリケーン、サイクロンなどの熱帯性擾乱)です。温暖化の影響で台風の強さが増すのではという研究もあるようなので、注意が必要ですね。
この本では、単にハザードの大きさを比較しているだけではなく、そのハザードが顕在化した時に、その国がどこまで戦えるか、あるいはどこまで耐えられるかということも視野に入れたrisk indexというものも示しています。これについては日本は世界でも非常に高い耐性があると評価されていますので、全てを掛け合わせたトータルなリスク指標では、今回はリスク・脆弱性評価のワースト10には入らずに済んでいるようです。
世界地図で見ると、赤道周辺、特にアジア、アフリカ、中南米にrisk indexの高い国が並んでいるのがわかります。これらの国の防災や減災に日本が果たすことのできる役割はまだまだたくさんあるのではないかと思うばかりです。