埼玉県、千葉県、栃木県と相次いで発生した竜巻で非常に大きな被害となった方々に、被災者生活再建支援金が支給される問題で、法律が適用された越谷市と、それ以外の市町村とで不公平な事態が生じていると議論になっています。どのような制度でもそうですが、ボーダーラインのところをどう扱うかという点では、法制度の限界が如実に表れてしまいます。今回の場合は、本来は災害で被災した個人の生活再建をするかどうかの判断が、市町村単位で行われること(全壊10世帯以上)であることに問題がありそうです。前の記事にも書きましたが、竜巻のようなきわめて限定的な範囲しか被災していない時でも、被災者の被災程度が如何に甚大であっても、10世帯という要件を満たさなければならないとしたら、小さな集落で局所的な災害が出た時には支給対象にならないという事態がこれからも生じるでしょう。平成の市町村合併で基礎自治体の規模が大きくなったとはいえ、合併しなかった町村はまだたくさんありますし、災害は小さな集落、大きな都市を選んで起きるわけではありません。
もう一つ、この制度の問題として最大300万円が支払われるという点が強調されすぎていて、まるで自然災害による被災者全員に300万円が支払われているという印象を持たれがちだという点です。全壊あるいは大規模半壊などで住宅の解体、再建を余儀なくされる被災者に対しては、基礎支援金の100万円と、そこで再建すれば加算支援金の200万円が支払われるのであって、これに至らない被災者や再建を選ばない被災者には、たとえ竜巻で屋根が吹き飛んで野地板がむき出しになっていても、この制度からは一円も支給されません。現在の制度は大規模な災害(特に大地震による多数の被災者が出た場合)を想定したものだというのが実態だと思います。
これに限らず、本当に社会的な支援が必要な人たちに支援ができているような、公平な制度ができているかについては、あらゆるジャンルでもっときちんと検証する必要がありそうです。内閣府の調査報告書(平成24年度被災者生活再建支援法関連調査報告書)も公表されていますが、これはあくまで支援を受けた人たちに対する調査であって、(要件を満たさず制度が適用されずに)支援を受けられなかった人たちは対象になっていません。困った人たちが本当に助けられる社会は同時に、困っていない人には少し我慢してもらう社会でもなければならないのが今の私たちの置かれている状況だと思います。その点をよく考えて、この制度がどうあるべきか、有識者の方々にはさらなる検討をお願いしたいですね。 今朝の松伏町。ここも支援法の対象にならないのでしょうか。