東日本大震災を受けて全国どの都道府県も(あるいは市町村も)防災関係の計画や体制を見直してきています。そのためWEB上はかつてないほど大量の情報が溢れていて、一般市民にとってはこれまでの情報とどう違うのかを理解することも必要になっています。これは私の個人的感想ですが、全体的に見て滋賀県は防災関連の情報公開が進んでいるほうだと思いました。
そのような中で私が特に興味を持ったのはいろいろな角度から防災力を高めるための資料が公開されている中で、地域や家庭にポイントを絞ったものが豊富な点です。例えば「できることから地震対策」のサイトではそれぞれの家庭でできることをわかりやすく解説し、事前対策や事後対応まで懇切丁寧にまとめられています。個人で携帯する緊急用記録までついていますので、参考にされている方が多いといいのですが。また「地域防災ちえ袋」では地域で取り組む防災に必要な情報や、先進的な取り組み事例なども多数紹介されていて、防災が基本的に「自分で」やること、やれることが沢山あることがわかります。また「地域で育む防災・防犯しがっ子ガイド」は、防災と防犯とが沢山の視点を共有しているテーマだということがわかり、未来を担うこともたちの安全と安心を地域で支えるためのよい基本学習資料としてとてもよくできています。
あらためて考えてみると、私たちの社会は戦後徐々に基本的には「自分で」やる社会に変わってきました。身近なところではガソリンスタンドのセルフ給油も大分馴染んでしまっていると思います。確かにセルフ給油の場合は従業員が行った場合よりもガソリンとディーゼル(軽油)との入れ間違いなどが起こる可能性が高いようですが、大規模な事故や深刻な影響(例えば吸気による健康への)などが大きく問題になっていない現状からすると、安全管理さえ工夫すれば今後も継続されていくと思われます。電気自動車がもっと増えればセルフ給電スタンドもあちこちにできるでしょうし、そもそも自宅のACアウトレットから給電できなければ、安心して遠出もできません。人件費高騰対策として導入されたという感も否めませんが、危険物に一般市民が安全にかかわっていく方向は当初騒がれたよりもずっとスムーズに進んでいる印象があります。
それと比べると耐震診断のほうはどうでしょうか。まだまだ専門家の役割だと思われがちです。確かに精密な耐震診断には高度な専門性も必要かもしれませんが、一番大切なのは建物所有者である市民自身がその性能を理解し納得することです。そうしないと悪質な業者による診断詐欺などに巻き込まれる可能性もあります。滋賀県の防災資料にも盛り込まれている簡易耐震診断の表(日本建築防災協会のもの)は10項目から構成されている誰にでもわかりやすいもので、在来工法で建てられた一戸建てにはよい目安となります。是非活用していただきたいものです。これで点数が7点以下(特に5点以下だったり)すると、私としてはとても不安です。
このような資料が沢山作られているのは大変良いことではありますが、最も肝心なのは、それを活用して市民と行政、あるいは市民同士で沢山のリスクに関するコミュニケーションが行われていることです。県にはこれら資料の活用度に関する情報についても、是非公表を期待したいところです。
ひこにゃんも防災に一役買って欲しい・・・